希望と絶望の世界史

『希望と絶望の世界史 ― 転換期の思想を問う』(4/17発売)

的場昭弘 前田朗 共著
四六判 ソフトカバー 288頁
ISBN978-4-380-24003-4  C0036
定価:本体2300円+税

マルクス研究の第一人者、的場昭弘に前田朗が訊く全4章。
2020年のパンデミック以降、世界は大激動の只中に。
絶望的現代世界を「西欧vs.非西欧」の視点で俯瞰し、そこから希望の世界を展望する。

「西欧化」を近代化と考えてきた日本人のわれわれが、「西欧vs.非西欧」という枠組みで世界の変化を捉えるのは勇気がいる。
しかし数百年にわたって西欧から搾取の限りを受けた非西欧諸国の場合、その怒りは爆発寸前かもしれない。
もちろん西欧も、これまでの優位を失った手負いの虎で、何をするかわからない。
これが2024年、一触即発の世界の姿だ。

資本主義のグローバル化は限界を迎え、グローバルサウスの台頭が国際秩序に変更を迫っている。
私たちの眼前で展開されている「世界史」の現在をどのように測量するのか。
本書を通じて、読者のみなさんの思考スタイルの問い直しが始まることを期待したい。

(本文より)

<チラシ>

読者用チラシ『希望と絶望の世界史』

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◉目 次

はじめに 前田朗

第一章 帝国主義戦争の時代に
ユーゴスラヴィア紛争の教訓
ロシアとウクライナ
琉球独立論の射程
西欧デモクラシーの二面性
民族をどう見るか
ロシア・ウクライナ戦争の起源
アルメニアとアゼルバイジャン
ピョートルの遺書
資本主義と啓蒙主義
グレートゲームの世界史
アフガニスタン訪問
アジアの資本主義
市民社会と社会主義
世界史の主役
グローバリゼーションとは何だったのか

第二章 マルクスとともに考える
トリーアのマルクス少年
ジャーナリストとしてのマルクス
啓蒙主義とユダヤ人
マルクスの「認識論的切断」
初期マルクスへの視線
運動家としてのマルクス
プルードンとマルクス
経済学者としてのマルクス
マルクス主義法学を学ぶ
もう一つの近代を見つける

第三章 待ち望む力―科学もユートピアも
科学とユートピアの近代
ビザンチンから欧州へ
ユートピアの歴史的位置
大航海時代の知
始まりとしての近代的所有
ユートピアとディストピア
ブロッホの希望
スピノザの喜びと国家
ヴェイユの重力と恩寵
アーレントの愛の概念
マルクスの希望と革命
将来社会構想をめぐって
個人と集団の近代――ヘイト・スピーチの場合
レイシズムと資本主義
希望だけがない国・日本で

第四章 希望と絶望の世界史
ウクライナとパレスチナ
国民国家の二面性
シオニズムの始まり
ユダヤ人迫害の歴史
「ユダヤ人問題」の諸相
帝国の解体
資本主義・植民地・奴隷制
「世界史」とは何か
資本主義の「世界史」
イスラエル建国問題
イスラエルの現代
絶望の近現代史
誰がジェノサイドを認定するか
正義は遅れてやって来る
ジェノサイドを裁く時代
国際刑事裁判の限界
「勝者の裁き」論
テロリストは誰か
希望の世界史のために
グローバルサウスの挑戦
アジアで唯一の植民地
脱植民地のために
晩期マルクスのノート
都市と農村の対立
西欧とアジア
アソシエーションという生き方
怠ける権利と働く権利

おわりに 的場昭弘

 

<著者プロフィール>
◉ 的場昭弘(Matoba Akihiro)
神奈川大学経済学部教授(2023年定年退職)。マルクス学、社会思想史専攻。1952年、宮崎県生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。マルクス学、社会思想史専攻。同大で副学長、国際センター所長、図書館長などを歴任。 著書に『超訳「資本論」』全3巻(祥伝社新書)、『未来のプルードン』(亜紀書房)、『カール・マルクス入門』(作品社)、『「19世紀」でわかる世界史講義』『最強の思考法「抽象化する力」の講義』(以上、日本実業出版社)、『20歳の自分に教えたい資本論』『資本主義全史』(以上、SB新書)、『一週間de資本論』(NHK出版)、『マルクスだったらこう考える』『ネオ共産主義論』(以上、光文社新書)、『マルクスを再読する』(角川ソフィア文庫)、『いまこそ「社会主義」』(池上彰氏との共著・朝日新書)、『復権するマルクス』(佐藤優氏との共著・角川新書)、訳書にカール・マルクス『新訳 共産党宜言』『新訳初期マルクス』『新訳哲学の貧困』(以上、作品社)、ジャック・アタリ『世界精神マルクス』(藤原書店)など多数。

◉ 前田朗(Maeda Akira)
東京造形大学名誉教授。1955年、札幌生まれ。朝鮮大学校法律学科講師、日本民主法律家協会理事、NGO国際人権活動日本委員会運営委員、救援連絡センター運営委員。
著書に『増補新版ヘイト・クライム』、『ヘイト・スピーチ法研究序説』、『ヘイト・スピーチ法研究原論』、『ヘイト・スピーチ法研究要綱』、『ヘイト・スピーチと地方自治体』、『黙秘権と取調拒否権』、『憲法9条再入門』、共編著に『なぜ、いまヘイト・スピーチなのか』、『ヘイト・クライムと植民地主義』、『思想はいまなにを語るべきか』、『新にっぽん診断』(いずれも三一書房)、『軍隊のない国家』(日本評論社)、『メディアと市民』、『旅する平和学』(ともに彩流社)など多数。


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