<近刊>原発被ばく労災

原発被ばく労災 − 拡がる健康被害と労災補償』

被ばく労働を考えるネットワーク編
四六判 ソフトカバー 223頁 (2018年6月刊行)
ISBN978-4-380-18009-5 C0036
予価:本体1700円+税

 2018年3月までに、福島第一原発の収束・廃炉作業に約6万5000人の労働者が従事し、うち4名の労働者に被ばくによる労災が認定されている。
 これらの労働者は、過酷な収束・廃炉作業に従事したとはいえ、いずれも法定被ばく限度を超えない範囲で働いていた。
 これらの疾病が業務上によるとして労災を認定した厚労省は、そのプレス発表で「労災認定されたことをもって、科学的に被ばくと健康影響の因果関係が証明されたものではない」と強調した。そしてこの認定について東電は「コメントする立場にない」と述べた。
 この4人の労働者は命の危機に瀕する疾病を発症し、原発での仕事による放射線被ばくが原因と労災が認められたにもかかわらず、法令違反や安全管理上のはなく、何の問題もないとされる。
 ここに被ばく労働、ひいては原発の矛盾と本質が現れている。
 原発は原発労働者なしには動かない。だが原発労働は、死亡を含む健康影響のリスクをもたらす被ばくが前提となっている。
 ならば、その結果として労災の可能性がある労働者がいれば、万全の治療や補償と損害賠償が行われるのが当然ではないか。
 ところが、国や電力会社は「未解明で科学的判別は困難」などと因果関係の存在さえ否定する。
 原発労働者の理不尽な使い捨てと被ばく労災におけるこのような主張は、日本の原発が商業稼働を始めてからずっと続けられてきたことだ。
 福島原発事故までの45年間で50万人を超える労働者が原発で働き、13名が被ばくによる労災認定を受けた。
 さらに彼らの背後には、労災とは認められなかったり、疑いを感じながらも請求を断念したり、はたまた周りとの人間関係に配慮して示談ですませた労働者がたくさんいる。
 しかし、これらがどれほど社会的に問題にされてきただろうか。国や電力会社はもちろんのこと、「見ぬふりをしてきた」私たちの存在が、原発被ばく労働をめぐるこの奇妙な構造と論理を温存させてきたのではないだろうか。
 そんな中でも、異議を唱え、自らの尊厳と仲間の安全を取り戻すために、声をあげた何人かの労働者がいた。
 そして、その労働者を支える家族や仲間の努力により、いくつかの争議や裁判などの闘いがあった。
 困難な闘いを経て労災認定を勝ち取り、認定対象リストに加えられた疾病もある。
 これが後にどれほど他の労働者の力になったかは、同じ病名で労災認定を受けている人が複数いることでもわかる。
 本書は、2012~13年の原発労働の実態(第1章)、これまでの被ばく労災をめぐる闘いの記録(第3章)、そして、被ばく労災をめぐる制度上の問題点の整理と提起(第2章、第4章)という構成になっている。
 被ばく労働者と市民、労働者同士が広範につながり、労働者の権利の回復と原発の根絶に向けて、本書が寄与することを期待したい。
  2018年4月
   被ばく労働を考えるネットワーク (はじめにより)

<もくじ>
○第1章 原発労働者は語る

○第2章 労災補償・原子力災害賠償制度の基礎知識

○第3章 被ばく労災補償をめぐる闘いの記録

○第4章 原発労働者の健康と安全、権利確立に向けて

○巻末資料

 

<関連書籍>
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