<近刊>『石ころを石礫に』

『石ころを石礫(いしつぶて)に  安倍氏暗殺・山上徹也さん裁判記録』

浅野健一
カバー絵:松永洋介(ならまち通信社)
四六判 ソフトカバー 304頁
 ISBN978-4-380-26002-5  C0036
定価:本体2200円+税

高校卒業アルバムの「将来の夢」欄に、「石ころ」と書いた山上徹也さん。 母親の入信・献金で家庭を破壊させた統一協会に一矢報いようと自らを礫(つぶて)にして行動を起こした。
犯罪報道をライフワークにする著者が、奈良地裁での全公判を記者席で傍聴し報告するマス・メディアで報道されなかった山上さんと裁判の実相。

報道各社等は、警察・検察の「教団幹部から安倍元首相に狙いを変えた経緯に飛躍、思い込みがある」と言う筋書きに同調し山上さんの説明不足を非難する。
奈良地裁の裁判官と裁判員は「不遇な生い立ちと事件は無関係」「安倍氏に何の落ち度もない」と決めつけ「無期懲役」を言い渡した。
山上さんは弁護団の支えを得て「なぜ安倍氏を襲撃したか」を誠実に説明した。
統一協会が安倍氏や自民党と深い関係にあることを調べて事件を起こした。その暴力行為を糾弾するだけではなく、事件の背景も社会全体で究明しなければならない。
その上で山上さんを社会に戻したい。冤罪事件の被害者に同情しながら、逮捕された市民を犯人と決めつけている報道の矛盾を考えてほしい。
自らの身に起きたならどうかと、想像力をもってほしい。
メディアは山上さんの実名を報道するなら、彼を逮捕、起訴した捜査官など公務員も実名報道し、山上さんの実名を書く社員記者も自身の署名を記事に入れるべきだ。
(著者:浅野健一)

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◉ 著者プロフィール 浅野健一(あさの けんいち)

1948年、香川県高松市生まれ。
慶應義塾大学経済学部卒業、新聞研究所終了、共同通信社に入社。
84年『犯罪報道の犯罪』(学陽書房)で犯罪報道問題を提起。
共同ジャカルタ支局長など歴任。
1994年から2014年まで同志社大学大学院メディア学専攻教授。
2015~16年、関西大学文学部非常勤講師。
2002~03年、英ウエストミンスター大学客員研究員。
人権と報道・連絡会代表世話人、救援連絡センター運営委員、たんぽぽ舎アドバイザー、憲法9条―世界へ未来へ連絡会(9条連) 共同代表、千葉県9条連代表。

◉主な著書

『犯罪報道と警察』『過激派報道の犯罪』『日本は世界の敵になる』(以上、三一書房)『オウム「破防法」 とマスメディア』『犯罪報道とメディアの良心』『安倍政権・言論弾圧の犯罪』(以上、第三書館)『天皇 の記者たち』(スリーエーネットワーク)『メディア・リンチ』(潮出版)『客観報道』(筑摩書房)『出国命 令』(日本評論社)『裁判員と「犯罪報道の犯罪」』(昭和堂)『記者クラブ解体新書』(現代人文社)『冤 罪とジャーナリズムの危機』(鹿砦社)『戦争報道の犯罪』『生涯一記者 権力監視のジャーナリズム 提言』(以上、社会評論社)など

<もくじ>

プロローグ 安倍氏暗殺の衝撃から山上さん不当判決で高裁へ
テニスコートで知った「安倍元首相撃たれ意識不明」の報/朝日新聞は事件の6時間後に伯父に取材し事件の全貌を掴んでいた/傍聴人との間に透明アクリル板の仕切り/山上さんが奈良地裁・不当判決に抗い控訴を決断/「山上さん」と顕名にし、統一「協会」と表記する理由/山上さんにも読んでほしい

第1部 安倍氏暗殺・裁判員裁判を「記者席」ですべて取材
第1章 社会復帰を許さない悪質な奈良地裁「無期」判決
結審後に検察証人の佐藤官房副長官に教団との関係が発覚/検察主張を丸呑みした田中裁判長の悪質判決/「生い立ちは事件と無関係」/裁判結審後に発覚した統一協会と自民党との新たな癒着関係/フリーの私に「記者席」提供は奈良地裁の"英断"/記者クラブの壁を突破した外国メディアとフリー記者の団結

第2章 安倍氏襲撃事件の衝撃
長い拘禁の影響が心配/「本人の言葉によって、迫力を持って伝わった」

第2部 山上徹也さん全公判傍聴記
第1回公判 2025年10月28日(起訴内容・双方の冒頭陳述・検察側による書証調べ)
「安倍政治」継承の高市自維政権下で進む審理/弁護団は奈良弁護士会が選任した国選弁護士4人/異常な裁判所の特別警備法廷態勢/初めて山上さんを見た―逮捕3年で哲学者のような風貌に/「事実です」と起訴事実認め、法律論は弁護士に一任/弁護側は武器製造などで無罪主張

第2回公判 2025年10月29日(捜査官、佐藤啓参院議員の尋問)
検察側証人のトップは〝目撃者〟佐藤啓官房副長官/統一協会問題、裏金疑獄は未解決

第3回公判 2025年10月30日(山上さんを捕らえた警察官と安倍氏を司法解剖した法医学者の尋問)
公開の法廷で実名を名乗らない検察官、警官も姓名開示せず/取り押さえた警護警官に「当たったか」と聞いた山上さん/司法解剖医が安倍氏には「潰瘍性大腸炎」の痕跡がないと断言

第4回公判 2025年11月4日(弾丸の軌道などを捜査した警察官の証言)
駅前工事請負の鹿島建設が防犯カメラで鮮明な動画を記録

第5回公判 2025年11月5日(山上さん宅の捜索をした警察官の尋問)
家宅捜索警官が「自宅はテロリストのアジト」と強調/検察が押収した手製銃を裁判員・裁判官に持たせる

第6回公判 2025年11月6日(手製パイプ銃を鑑定した科捜研主任研究員の尋問)
科捜研・主任研究員が山上さんの〝指導〟で発射再現実験/山上徹也さんはネット動画を参考に完成させる/実名報道の原則というなら警察官の顕名こそ求めるべき

第7回公判 2025年11月13日(科捜研主任研究員・母親=1日目の尋問)
主任検察官が安倍昭恵氏の上申書読み上げ/法廷で安倍元首相の「韓鶴子総裁に敬意」演説動画/山上さんの母親が、初証言、遺族や国民に謝罪したい/今も統一協会を信仰、「子どもの生活より献金が大事」/母親と視線を合わせなかった山上さん

第8回公判 2025年11月18日(母親=2日目・妹の尋問)
母親が5日後の再証言で統一協会批判に転じ、活動不参加と表明/「てっちゃん、ごめんな」「許してね」と山上さんに声掛け/「2人で児童養護施設にでも行けばよかった」/泣きながら苦しい日々を語る妹/母の部屋にあった統一協会系メディアの表紙に安倍氏写真

第9回公判 2025年11月20日(妹・全国弁連弁護士2人の尋問)
「徹也のおかげで大学を卒業できた」「私の自慢のお兄ちゃん」/「復讐できるなら復讐したかった」と発言/全国弁連・山口事務局長「宗教2世救済に取り組んでいれば事件防げた」/元信者・神谷弁護士が2世の声紹介「私が山上さんだったかも」/妹が大阪の弁護士たちと母親の脱会に向け相談、教団提訴検討/父親の自死の時、母親は妹を妊娠中だった

第10回公判 2025年11月21日(全国弁連弁護士2人の尋問・被告人質問1回目)
山上さん被告人質問で事件について初めて説明/よく通る山上被告の声、慎重に誠実に回答/高校の卒業アルバム「将来の夢」欄に/奮闘する国選弁護団4人の献身的努力

第11回公判 2025年11月25日(被告人質問2回目)
兄の自死に衝撃を受け、母親に不信感を強めた/18年に岡山で韓総裁の娘、愛知で総裁を襲撃企てたが未遂/06年に大阪で韓国から来た教団幹部襲撃を考えた/「安倍氏は長く統一協会の味方」

第12回公判 2025年12月2日(被告人質問3回目 検察側質問、裁判員・裁判官質問)
「安倍氏は怒りの対象ではなかった」というまとめ方は不適切/敵意を持っていた安倍氏襲撃は偶然の力もあって実行/「山上さん」と呼んだ裁判員の視線も

第13回公判 2025年12月3日(宗教学者の証人尋問・被告人質問=4回目)
安倍昭恵氏が被害者参加制度で初出廷/安倍氏の妻に一礼した山上さん、対面での謝罪はなかった/安倍氏襲う決断「経済的破綻で敗北は避けたかった」/櫻井・北海道大学教授が「宗教虐待が事件の背景」と分析

第14回公判 2025年12月4日(精神鑑定をした医師の証人尋問・被告人質問=5回目)
精神鑑定・和田医師が「安倍氏に標的変更は了解できる」と証言/言葉だけではなく熟考した上での謝罪表明目指す誠実さ/傍聴席から警察・教団関係者が消え、山上さん"サポーター"ばかり/社会全体で討論を

第15回公判・結審 2025年12月18日(検察側論告・弁護側最終弁論・被告人意見陳述など)
死刑求刑を避け無期懲役を求刑した検察側/検察側の論告要旨/弁護側の最終弁論/山上さん最終陳述を辞退

第16回公判・判決言い渡し 2026年1月21日(1審終了)
「被告人を無期懲役に処する」/地裁判決要旨/検察主張を丸呑みにした不当判決/生い立ち「犯行に影響せず」との認定は論理の飛躍/落ち着いた表情で「無期」判決を受け止めた山上さん/300人いる中での銃撃の危険性が無期の理由になった/山上さんの境遇に同情―「無期選択」の裁判員が会見で同情論/「納得しがたい判決だ」―弁護人2人が記者団に語った

第3部 「無期」に抗う高市政権下の控訴審と「TM文書」の衝撃
被害者救済の全国弁連が会見で「冷酷な判決」と批判/ソウル発TM文書で教団と自民党の癒着で新事実/お笑いタレントが高市氏側近・佐藤官房副長官を批判/NHKの「日曜討論」を〝ドタキャン〟/「神奈我良」を「神奈川県」と誤訳か/伯父の元弁護士が「不出来な判決だ」と批判/人権と報道・連絡会主催の緊急学習会で裁判報道を検証/無期判決が政治利用された/田中裁判長は東大卒のエリート裁判官/テレビ・コメンテーターの無責任な発言/ニューヨークタイムズの見出しは「暗殺者」/控訴を求め、市民グループは再びデモ/控訴期限の2月4日に大阪高裁へ控訴申し立て/事件関係の試射の山間地・マンションなどを訪ねた/高裁でも自然体で臨み減刑を―山上さんとの面会を目指/鈴木エイト氏と仙道・朝日新聞記者の被告・弁護団批判の勘違い

第4部 安倍元首相銃撃から裁判公判開始までの3年半
第1章 安倍元首相暗殺で統一協会と自民党の癒着を調査報道せよ
塀の中に落ちず被疑者のまま死亡した安倍元首相/記者を志す契機となったケネディ米大統領暗殺事件/伊藤詩織さん性暴力疑惑の山口敬之・元TBS記者の〝陰謀論〟/山上氏の「供述」は警察とメディアの創作/唐突だった「政治的信条への恨みはない」供述/県警幹部は「ご逝去」と表現し、被疑者の「思い込み」を強調/天皇死去報道並みの報道、「供述」垂れ流し/日本の刑事手続きの異常とメディアの官憲依存/事件後4日間、統一協会を仮名にしたメディア/キシャクラブメディア限定の統一協会会長の会見/鑑定留置は裁判先延ばしの政治判断/逮捕後すぐに勾留先の奈良西署へハガキを送った/奈良県警の安倍事件広報は3回だけ/奈良弁護士会が「供述報道」批判の会長声明/鑑定留置を申請、許可した検事、判事を秘匿する司法/ジャーナリズムの力で〝統一協会自民党〟の究明を

第2章 統一協会より自民党の解散が急務
山上さんに寄り添う国選弁護人4人に期待/高市早苗首相も統一協会と関係がある

第3章 山上徹也氏の裁判で安倍・自民党と統一協会の癒着の究明を
超長期の精神鑑定を正当化した共同通信/野田正彰氏は「自民党は統一協会党」と断定/メディアの「報道しない罪」/統一協会問題を30年間放置してきた社会の責任/日本政界との「ギブ アンド テイク」/統一協会が当選させた井上義行議員は今も参院議員/東京高裁が統一協会へ解散命令で清算手続きを開始/最高裁が被告人の手錠・腰縄の着脱について運用を見直す通知/被害者・安倍晋三氏に「落ち度なし」は論理の飛躍

エピローグ 全公判の傍聴を終えて

あとがきにかえて


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