<近刊>『他者の声を聴く』
『他者の声を聴く 在日朝鮮人文学への応答』
宮沢 剛
A5判 ソフトカバー 304頁
ISBN978-4-380-26003-2 C0095
定価:本体2700円+税
「当事者」が非「当事者」とは異なる〈現実〉を生き、異なる〈現実〉を見ているのなら、「当事者」が〝自らの〟文学を研究することには「必然性」がある。一方で、同じ権力構造の中をマジョリティ(非「当事者」)として生きる者がマイノリティ文学を如何に読み、如何に論じるのかという問いを折り込みながら行う研究にも意義があると思う。そうした研究は、〝中立〟的な視点から対象を〝客観〟的に観察・分析した研究とは言い難い。しかし、マジョリティに属する研究者が、研究対象の文学者や小説の主人公にとって自分は何者なのか、自分の研究を成立させている条件は何か等を問いながら行う研究は、文学作品が自分にもたらす戸惑いや違和感を手掛かりに、文学作品が潜在的に持っている、構造化された差別に対する抵抗力を明らかにする可能性がある。本論に収めた論文の多くも、そうした視点を伴って書かれている。本書の副題を在日朝鮮人文学〝論〟ではなく「在日朝鮮人文学への応答」とした所以でもある。在日朝鮮人文学を研究対象とする本書は、いくつかの章で、在日朝鮮人の文学者や作中人物と向き合った際に私の中で立ち上げられた〝日本人としての自己〟を意識しながら書いた。(著者まえがきより)
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<もくじ>
はじめに
第Ⅰ部
第1章 金史良「天馬」論—植民地のパロディ小説(『社会文学』2023.3)
第2章 一九五〇年代(から)の在日朝鮮人文学—はみ出すことと遅れること(『文学』2024.11)
第3章 詩の生成—『ヂンダレ』『カリオン』と『琉大文学』(『社会文学2020.3)
第4章 在日文学者にとっての白樺派文学—普遍性をめぐって
(「韓日共同〈白樺派〉文学研究シンポジウム」発表原稿 2006.8.22 於韓国外国語大学 韓国日本近代文学会主催)
第5章 李恢成「伽倻子のために」論—非暴力的な〈読み〉の試み(『日本文学』1999.1)
第6章 梁石日「夜を賭けて」論—想像力の国境線は越えられるか(『日本近代文学』2001.5)
第7章 金時鐘の詩を読む—読むことの「自由」と書くことの不「自由」(『日本近代文学』2003.10)
第Ⅱ部
第8章 フクシマ以後に金時鐘の詩を読む(『論潮』2014.1)
第9章 歴史を越境する詩—金時鐘『背中の地図』を中心に(『越境文化イニシアティブ論集』2020.3)
第10章 慰安婦・文学・植民地—朴裕河『帝国の慰安婦』の受容をめぐって(『社会文学』2017.7)
第11章 「慰安婦」と小説—語り得ぬ記憶の表現をめぐって(『昭和文学』2018.3)
第12章 「事実の真理」と言葉—黄英治『前夜』と李龍徳『あなたが私を竹槍で突き殺す前に』の戦い方
(『社会文学』2025.3)
第Ⅲ部
第13章 ケアとアイデンティティ—宗秋月の「もうひとつの声」 (書き下ろし)
第14章 偶有的生を祝福する—李良枝から温又柔へ (書き下ろし)
あとがき


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