愉しみながら死んでいく
『愉しみながら死んでいく』
―思考停止をもたらすテレビの恐怖―
◆日本図書館協会選定図書
原題:Amusing Ourselves to Death
―Public Discourse in the Age of Show Business
by Neil Postman
N・ポストマン著・今井幹晴訳
四六判 ソフトカバー 320P
ISBN978-4-380-14005-1 c0036
定価:本体2300円+税
「では……次に……」
深刻なニュースも、ゴシップネタも同列に「愉しい」ものにしてしまうTV。
視聴者から思考する力をうばうTVプログラム!?
N・ポストマンの代表作であり、世界各国で翻訳され現在も売れ続けているロングセラー、待望の邦訳出版!
<書評>
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わたしたちは1984年に注目してきた。その年が来ても、予言は実現しなかったので、思案していたアメリカ人は自分たちをたたえた。自由民主主義の根は伸びなくなっていた。脅威が存在していた場所には、オーウェルの描いた悪夢は訪れていなかった。
しかし、オーウェルの暗い予言とならんで、わずかに年代が古く、わずかに知名度が低いが、同じように恐ろしい別の予言があった。ハクスリーの『すばらしい新世界』。
オーウェルは外部からの抑圧によって支配されることを予言した。だがハクスリーの予言には、人間の自立や成長や歴史を奪うビッグ・ブラザーはいない。その予言によると、人間は抑圧を愛するようになり、人間の考える能力を取り戻させることのない科学技術をあがめるようになる。
『一九八四年』に登場する人間は苦しみによって制御されているが、『すばらしい新世界』に登場する人間は愉しみによって制御されている。オーウェルはわたしたちが嫌いなものがわたしたちを破棄することを恐れた。ハクスリーはわたしたちが好きなものがわたしたちを破棄することを恐れた。
本書は、オーウェルではなく、ハクスリーが正しかった可能性についての本である。(ニール・ポストマン)
- 著者:ニール・ポストマン(Neil Postman:1931~2003)
ニューヨーク生まれ。1955年コロンビア大学で教育修士号、58年に教育博士号取得。59年からNCU(ニューヨーク大学)に就任。71年メディア・エ コロジーの講座を設置。教育学部唯一の大学教授。著作に、The Disappearance of Childhood(1982年/邦訳『子供はもういない』2001年・新樹社刊)、Technopoly(1992年/邦訳『技術VS人間』1994 年・新樹社刊)、How to Watch TV News(1992年/邦訳『TVニュース七つの大罪』1995年・クレスト社刊)などがある。 - 訳者:今井幹晴
法政大学文学部卒。翻訳家。訳書にN・シャッフナー『神秘――ピンク・フロイド』1993年・宝島社、P・ホウ『ボーダーライナーズ』2002年・求龍 堂、A・ストー『天才は如何に鬱を手なずけたか』2007年・求龍堂、H・C・カトラー『ダライ・ラマ こころの育て方』2011年・春秋社、など。
<もくじ>
訳者まえがき
刊行20周年の序文/アンドリュー・ポストマン
原著者まえがき
◇第Ⅰ部
- 第1章 情報媒体は譬えである
- 第2章 認識機能としての情報媒体
- 第3章 活字印刷の国アメリカ
- 第4章 活版印刷の精神
- 第5章 いない、いない、バアの世界
◇第2部
- 第6章 ショービジネスの時代
- 第7章 「さて……次に」
- 第8章 ショー・ビジネスとしての宗教
- 第9章 手を伸ばそう、誰かを選ぼう
- 第10章 愉しい教育?
- 第11章 ハクスリーの警告
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