増補新版 ヘイト・クライム

増補新版ヘイトクライム

『増補新版 ヘイト・クライム―憎悪犯罪が日本を壊す-』

待望の増補新版
定価:本体1400円+税
A5判 ソフトカバー 192頁
ISBN978-4-380-13012-0
 C0036
前田朗著

憎悪犯罪を考える必読書 ― 吹き荒れる差別排外主義に抗するために
辛淑玉氏、特別寄稿

<まえがきより>
「私は差別しない」と思っているほうが、たぶん楽だろう。
私は差別しないのだから、差別は他人の問題だ。自分と関係ないのに、差別のような重たいテーマに取り組む理由がない。単なる傍観者になろうというわけではない。いざとなれば私は差別に反対する。
ただ、日頃から差別のことばかり考えてはいられない。 それに、差別はよくないが、人間社会から差別が簡単になくなるとも思えない。みんな同じだなんてありえない。差別はよくないが、区別は必要だ。みんな自分で努力して這い上がっていかなくてはならないんだし、努力が報われない平等社会なんて、却って不自然だ。
だから差別、差別と言っているよりも、もっと前向きになって、努力して自分を鍛えて、区別を乗り越えていけばいいんだ――こういう風潮が社会を覆っていれば、悪質な差別がひそかに隙間に入り込むのは容易なことだろう。差別に抗するエネルギーが奪われてしまうからだ。
たしかに、ほとんどの人は積極的に差別をすることはないだろう。しかし、他人の差別が自分の問題ではない以上、理不尽な差別が行われたときに、本当に「ノー!」と声を上げることができるだろうか。
目の前の「小さな差別」――被害者にとって決して小さくはないが――に目をふさぎ、声を上げない社会は、より大きな差別が起きたときに、断固として「ノー!」と言えるだろうか。

<書評>

<関連書>
『なぜ、いまヘイト・スピーチなのか ―差別、暴力、脅迫、迫害―』

『震災・戒厳令・虐殺 − 事件の真相糾明と被害者の名誉回復を求めて』

『ヘイト・スピーチ法 研究序説 ―差別煽動犯罪の刑法学―』

『「慰安婦」問題の現在―「朴裕河現象」と知識人』

『心に刻み 石に刻む ‐ 在日コリアンと私』

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honto

前田朗(まえだ・あきら)
1955年、札幌生まれ。中央大学法学部、同大学院を経て東京造形大学教授(現職)。
専攻は戦争犯罪論、刑事人権論。日本民主法律家協会理事、在日朝鮮人・人権セミナー事務局、朝鮮大学校政治経済学部講師。
著書に『非国民がやってきた!』(耕文社)、『戦争犯罪論』『人道に対する罪』『9条を生きる』(青木書店)、『ヘイト・クライム』(三一書房労働組合)
『デモ!オキュパイ!未来のための直接行動』『領土とナショナリズム』(ともに共著・三一書房)ほか多数。

◎目 次

  • 増補新版 はしがき
  • 旧版 はしがき
  • 第1章 噴き出すヘイト・クライム ―― 京都朝鮮学校事件から見えてきたこと
  • 第2章 朝鮮人差別はいま ―― 9・17以後の硬直した日本
  • 第3章 コリアン・ジェノサイドとは何か ―― よみがえる関東大震災朝鮮人虐殺
  • 第4章 人種差別との闘い ―― 国際人権法の歩み
  • 第5章 ヘイト・クライムの刑事規制 ―― 社会を壊さないために
  • 第6章 人種差別禁止法をつくろう ―― 私は差別をしない、と言うのなら
  • 第7章 ヘイト・スピーチ対策は国際的責務 ―― 人種差別撤廃委員会勧告を読む
  • 旧版 あとがき
  • 増補新版 あとがき
  • 『増補新版ヘイト・クライム』の刊行に寄せて ―「日本人」というストーカー  辛淑玉

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